研究用インタビュー録音で重要なのは「音質」「倫理配慮」「データ管理」の3点です。
録音段階の質が低いと、文字起こし精度が下がり、分析時間が大幅に増えます。
本記事では、対面・オンライン別のおすすめ録音方法、機材選び、保存ルール、倫理審査対応まで、研究者向けに実践的に解説します。
目次
なぜ録音方法が研究の質を左右するのか
インタビュー研究では、「録音の質=データの質」です。
音がこもる
雑音が多い
話者が重なって聞き取れない
このような状態では、
・文字起こし精度が下がる
・校正時間が増える
・発話のニュアンスが失われる
・分析の信頼性が下がる
という問題が起きます。
特に質的研究(ナラティブ研究、グラウンデッド・セオリーなど)では、沈黙や言い淀みも重要なデータです。録音段階の工夫が、最終成果物の質を左右します。
研究用インタビュー録音の基本原則(対面編)
① ICレコーダーのほうが安心
スマートフォンでも録音は可能ですが、研究用途ではICレコーダーのほうが望ましいです。
理由:
- 音質が安定する
- バッテリーが長持ち
- 通話や通知の影響を受けない
さらに理想は「外部マイク接続可能」タイプです。
スマホの録音機能も進化していますし、機種・アプリにもよりますが、どちらにするか迷ったらICレコーダーを選んだほうが無難といえます。
② マイクは“口元から30〜50cm”
マイクの向きや置く場所によっては、声が小さくなったり、紙の音や反響を拾いやすくなります。
ポイント:
- 参加者の正面に置く
- テーブルに直置きせず布を敷く
- エアコンや窓から離す
理想的にはマイクは口元から30~50cmぐらいですが、録音する部屋のレイアウトや参加人数によってマイクを置く位置は変わってきますので、テスト録音などしながら事前に調整します。
③ 録音前のテスト録音は必須
30秒のテスト録音で確認:
- 声量は十分か
- ノイズは入っていないか
- 話者の位置は適切か
この工程だけで、後の修正時間が大幅に減ります。
オンラインインタビュー録音のおすすめ方法
ZoomやTeamsなどのオンライン会議ツールを使用するケースも増えています。
例:
- Zoom
- Microsoft Teams
オンライン録音のポイント
① 必ず「ローカル録音」にする
② 参加者にも録音許可を明示
③ イヤホン+外部マイクを使用
特に重要なのは、PC内蔵マイクを使わないことです。
内蔵マイクは環境音を広く拾い、文字起こし精度を下げます。
録音環境を整える3つの工夫
1. 硬い壁を避ける
会議室は音が反響しやすい。カーテンや本棚がある空間が理想。
2. 生活音の遮断
- スマホは機内モード
- エアコンの風量を下げる
- 冷蔵庫や換気扇の音に注意
3. 同時発話を避ける
複数人インタビューでは、発言が重ならないよう進行役が調整する。
倫理審査・学内規定に対応する録音ルール
研究用途では、音質だけでなく倫理配慮が不可欠です。
チェック項目:
- 録音同意の取得(書面 or 録音冒頭で明示)
- 保存期間の明記
- パスワード付き保管
- 第三者提供の有無
倫理審査(IRB)提出時に問われるのは:
「録音データをどのように管理するか」です。
関連記事「学内規定・倫理審査に対応できる文字起こしとは?」
録音後のデータ管理と削除ルール
録音が終わった後の管理も重要です。
推奨フロー:
- 即日バックアップ
- 暗号化保存
- 文字起こし完了後の削除ルール明確化
研究終了後に削除するのか、一定期間保管するのかは、研究計画書に明記しましょう。
録音品質が文字起こし精度を左右する
音質が悪いと:
- 聞き直し回数が増える
- 校正工数が倍増する
- 分析前の下処理で消耗する
逆に、録音がクリアであれば、文字起こし作業は大幅に効率化します。
研究者が分析に集中するためにも、録音段階の最適化は最重要投資です。
■ 録音チェックリスト
✔ テスト録音をした
✔ 外部マイクを使用している
✔ 同意取得を明示した
✔ バックアップ体制がある
✔ 保存・削除ルールを決めている
よくある質問 (FAQ)
Q1. スマホ録音でも研究用途に使えますか?
可能ですが、外部マイク使用を推奨します。内蔵マイクのみでは音質が不安定です。
Q2. オンライン録音は違法になりますか?
録音自体は違法ではありませんが、必ず事前同意を取得してください。
Q3. 録音データはどれくらい保存すべきですか?
研究計画書および所属機関の規定に従います。通常は研究終了後一定期間保存します。
Q4. 録音の音質が悪い場合、文字起こし精度はどれくらい落ちますか?
環境によりますが、誤記率が大幅に上がり、校正時間が2〜3倍になるケースもあります。
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