
会議の録音音声を文字起こし(テープ起こし)して、議事録を作成するときのコツや注意点についてご紹介します。
自治体、企業、大学などのほか、あらゆる分野の各種団体で、規模の大小はあっても会議は必ず行われるものといえます。勤務先でこれから定期的に議事録を作成することになった、あるいは上司から突然、会議録を作成するよう指示された、そんなときに役立つ情報をご提供します。
議事録を文字起こし(テープ起こし)からスムーズ作成
議事録の用途
議事録・会議録とは、会議や打ち合わせの内容をまとめた文書のことをいいます。
ひとくちに会議といっても、種類や目的、あるいは重要度もさまざまです。記録を残す必要もない打ち合わせ的な会議もあれば、要点をまとめた議事録が必要ということもあります。
さらに会議の重要度が増せば、すべての発言を残すことが求められる詳細な議事録が求められることになります。文字起こし(テープ起こし)から議事録を作成するときは、基本的にはすべての発言を記録するための詳細な議事録の場合が多いです。
会議の録音を上手に行うコツ
録音は文字起こしの仕上がりを左右する
会議に限りませんが、文字起こしの仕上がりに大きな影響を与えるのが録音です。
聞き取りやすい音声であれば文字起こしの作業はスムーズに進みますし、聞き取りしずらい音声であれば文字化の精度も落ちますし、何度も聞き直したりするので作業効率も悪くなってしまいます。
ご自身(自社)で文字起こしされるときはもちろん、文字起こし業者に外注する場合にも録音状態はよいに越したことはありません。
たまに、プロの業者に頼むなら録音状態が悪くても大丈夫だろう、という方がおられます。確かにプロの技術といったものもあるにはありますが、やはり限界はあるので、あまり過度に期待しすぎないほうがよいでしょう。
最悪、業者に文字起こしを発注したものの、聞き取り不能ということで断られることもあり得ます。
録音機器について
会議を録る録音機器は、ICレコーダー(ボイスレコーダー)を使用される方が多いと思います。
現在は、カセットテープやMD等への録音は少ないと思いますが、きれいに音が録れるなら、それらの記録メディアの音声でも文字起こしは可能です。
ただ、デジタル音声のほうが文字起こしの作業は何かとやりやすいので、ICレコーダー(ボイスレコーダー)で録音したほうが無難でしょう。
また、文字起こしを外注するときは、テープやMDは対応していない業者もあるようなので、必ず作業可能か確認したほうがよいです。文字起こし業者といっても、経営者や作業者が若い方だと、もうカセットテープやMDを知らない、使ったことがない世代がふえています。
音声ラインから録音する方法
大きな会場などしっかりとした音響設備があるようでしたら、音声ライン(注・スマホアプリのLINEではないです)から録音するとクリアな音が録れます。
注意点としては、複数のマイクを使う場合や、マイクなしで発言する方もいると、音声ラインからはずれていて録音されない発言が出る可能性があります。ライン録音する場合でも、バックアップ用として、ICレコーダー等で録音しておいたほうがよいでしょう。
録音機器を置く場所
会議の録音では、参加人数が多くなることがあります。マイクを使った会議であれば問題ないですが、全員あるいは一部の参加者がマイクなしだと、遠くの声(小さい声)を拾えない場合も少なくありません。
文字起こしの際、会議の録音音声でありがちなのが、録音機器の近くの発言者の声はよく聞こえるのに、遠くの発言者の声が小さくて聞き取れないケースです。
録音機器をどこに置くかは、マイクの指向性の角度(ズーム範囲)、部屋の広さ、座席のレイアウトなどにもよるので、一概にここがベストとはいえません。しかし、単純かつ大雑把に考えるならば、マイクから遠い音は小さく、近い音は大きく録れるということです。
実際のところ、録音の担当者は会議場の端のほうにいて、自分の手元で録音するというシチュエーションが多いかと思います。録音に慣れていないと、どうしても手元に録音機器を置きたくなりますが、本当にその場所で録音して大丈夫なのか確認してみてください。
上手く録音できるか心配なときや、広い会場で録音するのであれば、録音機器を複数台用意して、異なる場所で録音する方法もあります。
また、ベタな対策ですが、会議が始まる前に「今日の会議は録音しますので、発言は大きな声でお願いします」と、司会や議長からお願いしてもらうのもよいでしょう。
そのほか、注意点としては、手元に録音機器があるときは、機器の上に資料をかぶせてしまったり、マイク近くで資料をめくると結構大きな音で録音されて発言が聞こえないことがありますので、気を付けるようにします。
また、録音機器はかたい机に直接置くより、ハンカチなど振動が伝わりにくいクッションを敷くとノイズ軽減になります。ポケットに録音機器を入れると衣服が擦れる音が入りますので、やめておいたほうがよいでしょう。
WEB会議の録音について
近年は、Zoomなどを使ったオンラインでのWEB会議を行うこともふえてきました。大抵のWEB会議のソフトは録音・録画機能がついていますので、そういった便利な機能を利用すればよいでしょう。また、録画も録っておくと、会議の形態にもよりますが、発言者の特定が容易になります。
デメリットとしては、音が飛んだり、通信不良で聞き取りづらかったり、不意に通信が切れてしまったり、オンライン独特のトラブルもあります。
議事録作成のコツ
議事録の書式について
議事録の書式については、職場等で定型のフォーマットがあったり、そこまできっちりしたものはなくても、過去の議事録をベースにして書式を踏襲していることもあるでしょう。
初めて議事録をオリジナルで作成する場合は、下記のような基本項目は入れるようにしましょう。
・基本項目
会議名、日時、場所、参加者(欠席者)、議題
また、文字起こしして各発言をすべて記録する形式ではなく、要約した内容を記す場合は、基本項目の後に以下のような項目を記します。
・要約内容の項目
決定事項、議論内容、懸案事項、備考
コツとしては、会議全体の内容をダラダラと書かずに、上記のような項目に分けて完結にまとめます。できれば、箇条書きを用いたりして、読みやすく、わかりやすく書くようにします。
発言者を聞き分けするコツ
会議を文字起こしして各発言をすべて記録するときに、難しいとよくいわれるのが、発言者の聞き分けです。
参加者3~4人くらいまでの小会議なら問題ないことが多いでしょう。5人以上あたりから、聞き分けが難しくなります。また、会議参加者が顔見知りの職場の人たちなら、日頃やから声を聞いているのでわかりやすいですが、知らない人がふえるほど難しくなります。
発言者を聞き分けるコツとしては、以下のような方法があります。1番目や2番目をしっかり行うことが可能なら、発言者の聞き分けの問題はだいぶなくなります。しかし、実際には無理なことも多いので、そのときは3番以降の方法で聞き分け精度を高めていきましょう。
- 会議前に、各発言者は名乗ってから発言するようルールを決める。
- 司会役がいるなら、発言を振るときに名前を言って指名してもらう。
- 会議中、「部長→社長→鈴木→山田」というように発言順をメモしておく。
- 文字起こしを始める前に、参加者名簿や簡単なプロフィールを調べておく。
- 文字起こししながら、各発言者の声や話し方の特徴をメモしておく。
- 文字起こししながら、各発言者が最初に登場する時間をメモしておく。作業中に誰の声か確認したくなったときに便利。
発言をテキスト化するときのコツ
文字起こしを効率よく行うコツ
会議を文字起こしを始めてみめと、録音状態や話者の話し方にもよりますが、聞き取りづらい箇所がときどき出てきます。
どうしても、聞き取りづらい箇所は何度も繰り返し聞くことになります。また、わからない言葉はネット検索で調べたりします。
しかし、繰り返し聞いたりネット検索は、あまりにもこだわりすぎると、作業が止まってばかりで先に進まないことがあります。また、文字起こしは基本的に根気がいる作業なので、いつまでたっても進まないと嫌気がさしてくるものです。
ですから、不明箇所は伏字にしてタイムスタンプを記し、なるべく先を進めるようにします。そして、文字起こしが一通り終わったら、あらためて聞き直したり、ネット検索したりするようにしましょう。こうすることで、作業効率がよくなりますし、ストレスも少し減ります。
不明箇所を後であらためて確認するというのは、作業効率だけでなく、もう一つメリットがあります。
聞き取れない箇所というのは、時間をおいて聞き直してみると、けっこう聞き取れたりすることが多いのです。プロの文字起こしライターでも、「なんでこれが聞き取れなかったんだろう」と苦笑することがありますね。
起こし方について
会議の発言をテキスト化するときの起こし方についてです。文字起こしの仕方には、ケバ取り、逐語起こし(素起こし)、整文(リライト)などがあります。
ケバ取りは、話し言葉にありがちな「あー」「えー」など、発言内容と関係ない言葉・声を取り除くことをいいます。会議の文字起こしでは、このケバ取りまで行うケースが多いです。
逐語起こしは、ケバ取りをしないで聞こえた通り正確にテキスト化する起こし方です。会話分析や法廷提出用の文字起こしで行われることがあります。正確な反面、読みづらくなるので、会議の文字起こしではあまり用いられません。
整文は、ケバ取りした文章を、さらに読みやすくする方法です。読みやすくはなりますが、発言のニュアンスが変わってしまうこともあります。どこまで整文するかにもよりますが、議事録ではあまりしない印象がありますね。
以上、会議の文字起こしから議事録を作成するコツについてご紹介しました。これから議事録作成をされる方は、ご参考にされてみてください。
当事務所でも文字起こしをお受けしております
お忙しい方や、職場のスタッフに余裕がない場合は、会議の文字起こしを外注することもご検討されているでしょう。
当事務所は、文字起こしに30年以上携わる専門オフィスになります。ご用命がありましたら、いつでもお問い合せください。リアルの会議はもちろん、WEB会議の文字起こしにも対応しております。
また、当事務所の文字起こしサービスについては、サイトのHOMEから各ページを見られるように案内しておりますので、よろしければぜひご覧いただけますようお願いいたします。