時代とともに、さまざまな新しい仕事がうまれては消えていきます。そのなかでも、長いあいだ根強い人気があるのが文字起こしです。
本記事では、在宅ワークで文字起こしを始めたいという方に向けて、役立つ情報をご提供します。文字起こしの技術面だけでなく、ビジネスとして成功するために何をしなければならないか、そのヒントをご提供します。
在宅ワークの文字起こしを成功へ導くノウハウ
文字起こしに必要な技能とは
核になるのはタイピングの技能
在宅ワークに限りませんが、文字起こしの仕事を行うのにあたり、必要となるスキルがいくつかあります。
まず、もっとも核となる技能はタイピングです。文字起こしは録音音声を聴きながら文字入力していく作業なので、速く正確なタイピングが求められます。
だからといって、タイピングの競技会に出るようなプロ級の腕前はなくても大丈夫です。もちろん、速ければ速いほどよいですが、とりあえずはタッチタイピング(ブラインドタッチ)で入力できるレベルなら問題ないでしょう。
逆にいうと、キーボードを睨みながら人差し指でキーをポツポツと打つようなレベルでしたら、ほかの仕事を探されたほうがよいかもしれません。
パソコンの知識・技能もある程度は必要
タイピングをはじめ、文字起こしの仕事はほとんどがパソコンを使って行います。音声再生、文書作成、圧縮・解凍、ネット検索、メールのやり取り、データの受け渡しなどの基本的なことは、パソコン(一部はスマホでも可)上でスムーズに行える必要があります。
文字起こしの関連では難しいソフトを使ったりすることは基本的にはないですが、とくに在宅ワークの場合、わからないことは自分で調べて対応していかないといけないので、パソコンの基本的な知識・技能があったほうがよいでしょう。
例えば昨今、新型コロナウイルスの流行がきっかけとなり、Zoomなどを使いWeb会議を録画した動画中の音声から、文字起こしする案件がふえました。このようなとき、動画中の音声からどうやって文字起こしするのか、自分でネット等で調べて対応しなければなりません。在宅ワークでは、こうしたときの対応力が求められるということです。
聞き取りの精度も重要
文字起こしをタイピングなど技術的なスキルも必要ですが、音声を聞いて正確に文字化できるかも重要です。
音声を聞いて文字に起こすだけなら誰でもできると思われるかもしれませんが、じつは文字化の精度は作業者によって結構差があります。
聞き取りの能力、いわゆる「耳の良さ」は先天的な部分もありますが、語彙力・国語力や、該当する音声内容に対する知識などによっても変わってきます。
こうした能力に欠けると、文字起こしは難しいと感じるでしょう。
在宅ワークとしての文字起こし
在宅文字起こしは稼げるか
文字起こしに長年携わる当オフィスには、在宅ワーク・テレワーク・SOHOなどで文字起こしを始めたいという方から、ときどき相談を受けることがあります。
そんなとき私はいつも、「在宅で文字起こしを始めても、なかなか収入は安定しないよ」とか、小遣い稼ぎをしたいという若い方には「コンビニでバイトしたほうが稼げるかもしれないよ」と言っています。
正直、在宅の文字起こしは、個人差はあれ、それほど稼げる仕事とは言えません。しかし、それでもやりたいという方がいらっしゃるのも事実です。
在宅文字起こしの魅力とは
在宅文字起こしの魅力の1つは、やはり自宅で、じぶんのペースで仕事ができるという点があります。通勤もないですし、締め切りにさえ間に合えば好きな時間に仕事ができます。
なかには、子育てや介護、あるいはご自身の病気などで、外で働くのが難しいという切実な理由の方もおられます。そんな方には、多少収入が少なくても在宅文字起こしは魅力的かもしれません。
しかし、在宅ワークの文字起こしだからこそ、難しいこともあります。そこで、以下に在宅ワークの文字起こしについてビジネス的な観点からすこしお話ししてみようと思います。
「技術」だけでなく「ビジネス感覚」も重要
在宅文字起こしのプロとは
在宅文字起こしをこれから始めたいという方は、音声から文字を起こすときの上手なやり方とか、原稿作成の基本とか、作業に役立つ便利なソフトとか、タイピングが速くなる方法とか、どちらかというとテクニカルなことのほうに関心が向くようです。
もちろん、仕事として在宅文字起こしを行うなら、こうした技術的なことが重要なのは確かです。しかし、「仕事として」というのであれば、技術やノウハウと同じくらい、いやそれ以上に重要なこともあります。
それは、「稼ぐ」ということです。どんなに技術を磨いても、文字起こしの仕事が来なければ話になりませんからね。ビジネスとして成立しなければプロの仕事とは言えないです。
「強み」がある人は仕事を得やすい
では、どうすれば、在宅文字起こしの仕事をふやせるのでしょうか。正直、この問いに対する明快な答えを知っているなら、私も教えてほしいです(笑)。でもそれだと、この記事もここで終わってしまいますから、わかる範囲で参考になることを述べたいと思います。
在宅ワークで文字起こしの仕事を得るために、まず思い浮かぶのは、インターネットの利用です。たとえば、ビジネス系のマッチングサイトや文字起こし専門業者にアプローチして、ライターとして登録をするという方法です。
これはうまくいけば、継続的に仕事を発注してもらうことができるでしょう。ただ、未経験者ですと、なかなか仕事の依頼が来ないかもしれません。常識的に考えて、ほとんど実績のない人に仕事を発注する依頼主は、ゼロとは言いませんが少ないのが現実でしょう。
しかし、得意分野があるとか、何かの資格をもっているとか、料金が安いとか、仕事が早いとか、何かしらの強みがあれば仕事を得られる確率は高くなります。
自力で依頼主を探すことも可能
さらに一歩進めて、どこかのサイトへの登録や業者に頼らず、自分自身で依頼主を探し交渉して、文字起こしの仕事を受注するという方法もあります。
自力で文字起こしの依頼主を探すには、ネット上に広告を出したり、HPを作成したり、紹介や口コミなど人脈を使って探したり、もう少しガッツがあるなら訪問・電話などの営業もよいでしょう。
なかには、ビジネス関連の異業種交流会に参加したり、地域の経営者の会や商工会議所などに入って人脈を広げている人もいます。
営業などの経験がない方ですと、「そんなことできないよ」と言われるかもしれません。それでしたら、苦手なことを無理にやる必要はないと思います。自分の得意なやり方でアプローチすればよいでしょう。
ただ、何もしなければ仕事は来ないということは、肝に銘じておいたほうがよいです。これは文字起こしに限らず、どんなビジネスでも同じことですよね。
文字起こしの仕事が来ないと悩んでいる人に話をよく聞いてみると、じつは誰でもやっていそうなことを少ししているくらいで、大した努力をしていない方が多いのは事実です。
行動したからこそ、運が開けた事例
訪問営業や電話営業は、慣れていない方には抵抗があるでしょうが、やる気があれば有効な手段になる可能性があります。
知り合いのライターさんで、ワープロで手製のチラシを作成し、地元の印刷所などを自転車で回ったり、電話やFAXで営業したりした方がいます。しかし残念ながら、仕事の受注までには至りませんでした。
しかし、営業で訪問したある会社の社長さんが、東京の出版社を紹介してくれたそうです。その出版社に連絡したところ、すぐに仕事はもらえませんでしたが、一週間くらい後にダメもとで仕事がないかメールを出してみたら、なんと文字起こしを依頼してくれたそうです。
このケースは運もよかったのだと思います。でも、積極的に行動したことによって、次につながったのは間違いありません。どこから道が開けるかわからないものです。何もしなければゼロだったわけですし、運すら期待できませんからね。
あなたは上記の事例を読んで、「私はそこまでできない」と思ったかもしれません。確かに、行動力は人によって違いますし、営業方法によっては向き不向きもあるでしょう。じゃあ、どんなやり方なら自分は徹底してできるか、それを考えてみることです。それが、在宅ワークを成功させるヒントにつながるのだと、私は思います。